グロスアップとは、実際の支払い(受取り)金額から逆算して額面金額(総額)を算出する手法です。ビジネスにおいてときに必要になることがあります。所得税法では、報酬などの支払請求を受けた際に税金を差し引いて支払い、請求人に代わって納税をする制度(源泉徴収制度)が定められています。
源泉徴収は法令で規定された報酬等にあてはまれば義務として納税しなければなりません。源泉徴収を忘れて支払ってしまった場合は、税金分を後から返金してもらうか、それができなければ自己負担で納税するしかありません。グロスアップ計算はそのような時に有効な手段です。
【計算事例紹介】
1. 税理士や司法書士への支払い
一般的には請求書に源泉徴収税額が記載されています。司法書士は非課税控除額1万円に気をつけてください。請求書に源泉徴収の対象とならない立替金などが記載されている場合は、立替金を除いた金額を支払金額として計算してください。
2. カメラマンや講師などのフリーランスへの支払い
フリーランスは個人事業主として活動しており、その報酬の一部は所得税法において源泉徴収の対象とされています。フリーランスからの請求書に源泉徴収税額の記載がなかったとしても、支払う前にその内容を確認して源泉徴収が必要かどうか判断しましょう。
3. 預金利息や配当金の受取り
通帳に記載されている預金利息や上場株式の配当金は源泉徴収された後の金額です。受取額から額面金額を算出したい場合は、所得税率に15.315%を入力してください。
4. 外国人や国外事業者への支払い
日本に居住していない人(非居住者)や外国法人への支払いは源泉徴収が必要になる場合があります。ただし、国内で行われた取引や労務の提供に対する対価に限られるのが原則です。国内取引かどうか、相手が非居住者かどうかなどの判定が難しいケースもありますので、税理士にご相談ください。